賃貸物件を探していると、必ず目に入ってくる「礼金」。
当たり前のように書かれている礼金ですが、そもそも必ず払う必要があるのか疑問に思う人もいるでしょう。
この礼金は、日本だけの悪習とも言われており、今後変わっていきそうなシステムでもあります。
そこで今回は、賃貸契約における礼金が悪習と言われる理由や、払いたくない時の対処法などをご紹介していきたいと思います。
賃貸契約における礼金とは?
礼金は『家を貸してくれてありがとう』という意味不明の制度で時代遅れの制度と言えます
現在では入居者に支払われた礼金は家主さんに一度支払われますが、不動産会社に支払う広告料やリフォームの費用に使われることで家主さんの利益になっています
礼金を払うという習慣が始まったのは、住宅が不足していて賃貸物件に対する需要が高かった時代まで遡ります。
住宅不足に関わらず、部屋に入居させてくれたお礼という意味で、礼金という習慣が生まれたのです
現在では礼金は本来であれば支払う根拠がないということが言えます
礼金と敷金・保証金は違う
返金される? | |
礼金 | ✖ |
敷金 | 〇 |
保証金 | 〇 |
初期費用も後で返金されるのであればいいのですが、礼金は返金されません
礼金は家主さんの利益です
敷金・保証金は関西・関東で言い方がちがいますが、基本的には預り金になります
なにもなければ返金されますが、現在では見ることはなくなりましたが、敷引きなどがある場合は差額が返金されます
礼金の歴史
日本に礼金の慣習は諸説ありますが、大正期の関東大震災の時と昭和期の高度成長期までさかのぼります
そもそも、礼金は言葉の通り部屋を貸してくれてありがとうといるお礼の意味が強いです
それが住宅不足の時代に加速したようです
◆ 大正期の関東大震災の裏金
1923年(大正12年)に南関東大震災が起こり、死者・行方不明者が10万5000人、なんと東京の6割の家屋が被災したために極度の住宅不足がおこり、流言飛語が飛び交い社会が不安定な状態が続いた時に部屋を貸してくれる家主さんはなかなかいなかったようです。
そんな中で部屋を貸してくれるように裏金を家主に渡すという風習が生まれて、礼金という制度が始まったとも言われています
◆ 昭和期の高度成長期の親からのお礼
地方から若者が東京に集まってきた時代がありました
当然、住宅不足が深刻になり部屋を借りることができた若者の家族から地方の親がお礼の意味でお金を支払うことが多くなったようです
礼金制度は日本独特の風習や地震などによって生まれた制度でもあります
◆ 敷引制度から礼金制度
2000年に入り、賃貸では保証金・敷金の中から一定金額を差し引く敷引き制度に対して裁判で無効という判決がでてきたことにより、いままで保証金・敷金から退去の時に一定額差引する敷引きが不動産会社ではできなくなってきました
新しい入居者を募集する費用・リフォームする費用がなかなか確保できなくなるために、敷引きの代わりに入居者からお金を取ることができる制度が復活したようです
現在の礼金制度は以前の敷引き制度に変わるものだと言っていいと思います
礼金は日本だけのおかしい悪習?
そもそも、礼金という習慣は日本だけなのでしょうか?
調べてみると、国によって礼金の習慣は違いました。
トルコやウクライナ、オーストラリアなどでは、日本と同様敷金・礼金を支払う習慣があります。
しかし、台湾では礼金を支払う習慣はなく、イタリアやスペインでも敷金の支払いはあっても礼金の習慣はないようです。
さらに、ロシアや中国、フィリピンなどでは敷金・礼金どちらの支払いもないという状態です。
このように、それぞれ国によって礼金に対する習慣の違いはあれど、日本ほど礼金の支払い義務が厳しい国は少ないという印象です。
このような背景を踏まえると、日本の礼金が悪習と呼ばれる意味が分かりますね。
礼金を払いたくない時の対処法
悪習と言われる礼金を払いたくない時の対処法はあるのでしょうか?
賃貸物件に入居する際は、敷金・礼金だけでなく色々な費用がかかりますよね。
少しでも、費用を抑えたいというのは当然の気持ちです。
◆ 礼金不要物件を探す
まず、賃貸契約で礼金を払いたくない時は、礼金の支払いが不要な物件を探す事が重要です。
ポータルサイトで礼金不要と☑をいれて検索することで礼金不要な物件を選ぶことができます
礼金は、悪習と言われていますが最近では、礼金の支払いが不要な物件も多くあります。
まずは、そのような物件を見つける事で、礼金を払いたくない場合は対処することが出来るでしょう。
そして次に、希望の賃貸物件が礼金の支払い義務がある場合です。
上記のように、希望の賃貸物件と礼金の支払い不要が合致していれば問題ありませんが、中にはどうしても希望する賃貸物件と礼金との兼ね合いがうまくいかないという場合もありますよね。
⇒礼金不要物件の落とし穴
礼金不要物件は最近ではよくありますが、注意したいのが退去時に費用を取られたり不要なサブスクリプション(subscription)サービスなどを加入するのを条件にしているところもあります
礼金は0ですがそれ以上にお金がかかるということもあります
◆ 礼金交渉可能
そのような場合は、礼金は交渉可能だという事を覚えておきましょう。
礼金は、解説した通り大家さんへの感謝の気持ちを表すもので、大家さん自身が金額を設定している事が多いのです。
そのため、金額の変動もある程度可能な場合が多く、その場合は交渉次第で礼金の金額を変更することが出来ます。
ここで重要なのが、礼金の交渉はある程度契約する部屋が決まってきたタイミングでするという事です。
決定した後ですと、礼金の交渉のタイミングとしては遅いでしょう。
◆ 礼金交渉のタイミング
人気物件だとなかなか礼金交渉をうけいれてくれないこともありますが、不動産屋としては、部屋を契約してもらう事が目的でもあるので、決まる前に礼金の金額で悩んでいるという事を伝えることで、担当者が大家さんとの交渉を前向きに考えてくれる可能性が高くなります。
このように、礼金は大家さんによって金額に差があるので、礼金を払いたくないという場合は、交渉するという事も選択肢に入れておくと良いでしょう。
家主さん側も礼金の割引と空室で家賃が入ってこない期間を天秤にかけますので、上手くいけば条件を飲んでくれる場合もあります
礼金を取らない物件
礼金制度がグレーな制度であるために、税金が投入されている賃貸物件は礼金不要になっているものが多いです
◆ 特優賃
特優賃は国や県・市の制度を利用した賃貸住宅になります
一定基準の建物で入居者の収入にも条件が付けられている代わりに、家賃補助をうけることができます
特優賃は礼金不要です
◆ UR賃貸住宅
UR都市再生機構が運営しているUR賃貸住宅は礼金不要です
保証金・保証人・仲介手数料も不要です
礼金を支払いたくない方にはおすすめの賃貸住宅です
関連記事:保証会社不要のUR賃貸住宅のおすすめできるポイント |
◆ ビレッジハウス
家賃も安く、礼金・敷金は不要です
全国にあるので、お近くにあることもあると思います
礼金・敷金不要で直接借りれば仲介手数料も不要です
ただ、短期間の退去では短期違約金を請求されますので、2年以上住む方向きです
日本だけの礼金の悪習が変わる?
さてここまでで、礼金における日本の悪習に関して解説してきましたが、実は最近日本だけの礼金の悪習が変わりそうな動きが出てきているのです。
日本だけに見られる独特の礼金システムは、海外ではあまり多く見られるものではなく、グローバリゼーションの進展に伴って、この悪習が是正される流れになってきているのです。
近年、グローバル化が急激に進む中で、海外の不動産投資家や日本への留学生が日本に住む機会が多くなりました。
その中で、日本の不動産取引における礼金等のシステムが分かりづらいという声が多く挙がるようになり、無視できなくなりつつあるのです。
こうした背景から、日本で昔からある礼金の悪習を見直す動きが出てきています。
まとめ
さて今回は、礼金が悪習と言われる理由や、礼金を払いたくない時の対処法などについて解説してきました。
礼金とは、昔から日本に根強く残っている習慣ですが、時代の流れと共に悪習と呼ばれるようになってきました。
今回は、賃貸契約において、礼金を払いたくない時の対処法などもご紹介してきましたが、住宅事情が急速に変わりつつ現代において、少しずつ礼金の悪習は見直されていく事でしょう。
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余計な費用がかかるということもありません